hunger

昨日は気付かなかったが、今日ファミ通を買いに本屋へ行ったら、週プロのPRIDE増刊が出ていた。
全然買うつもりもなくパラパラめくっているうちに、不意に涙が溢れて来て、慌ててレジへ持って行った

家に帰って読んで、改めて泣いた。
感動したとか嬉しかったとかじゃなくて、何だか分からないけれど涙が出た。
思えば私は一度だってまともに石川雄規を評価していなかったんじゃないかと気付いた。
全く持って失敬な事をした。だから、涙の最大の理由は情けない自分に、だったかもしれない

昨日石川がガウンを着ていなかった事に私は不満を書いたが、理由は「たぶんみんなが着てくると思っただろうから」だと。自らを『天邪鬼』だと。
あぁ、ここにもいた…嬉しかった…それ以上に愛しかった。
新調した白い縁取りのタイツに、BATTLARTSの文字。
何と頑固な、意固地な、しかし、自信に満ちたタイツだろう。
石川は叫んでいる。俺がバトラーツだ。その声が誌面を通して、確かに聞こえた

試合後のコメントの、また、らしいこと。「目指すのは北斗の拳ラオウ」とは。そう、バトは格闘マンガの世界を実現する団体だった。それは今でも変わっていないのだ。
そして、腫らした瞼で笑う、その笑顔の清々しいこと。
世に数多のレスラーがいるが、試合前と、最中と、終わった後で、これほど表情が変わるレスラーが他にいるだろうか。
そのどれもが、私にはとても美しく見える

私は常々、石川雄規は負けることがマイナスにならないレスラーだと思っていた。
それは決して間違いでなかったが、それ以上に、負けた後に期待を持たせる事が出来るレスラーだと気付いた。
晴れやかに笑いながら、石川は悔しがっている。悔いはないと言いながら、もう一度と。
こういう男は、身近にいそうで、そうそういないものだ

私は今、石川雄規に餓えている。
もう、異種格闘技はイヤだとか、贅沢は言わない。石川がリングの上に立ってさえいれば、相手は誰でも良いのだ。
そう気付いてしまったのが、今だとは。
しばらくは明日の録画ビデオと、この増刊でしか見られないのが、辛くて、寂しくてたまらない